Before
匠の技術で建てられた伝統的な日本家屋。建築時から屋根を葺き替えたことはなく、老朽化や地震の影響で強度の不安もありました。
木造伝統家屋に現代性をプラスして、
3世代が心地よく暮らせる住まいに。
長年の風雨や地震で傷みが目立ち始めていたK様のご自宅は、伝統工法で建てられた築約65年の木造住宅です。
「同様のものを新築すると大変な費用が必要ですし、祖父が建てた思い入れのある家でもあるので、なんとかリフォームで対応できないかと考えていました」。
ご主人の切実な思いに応えて、木造の風情を保ちながら耐震補強を施し、ご両親も安心して暮らせる空間へ。
葺き替えた屋根には太陽光発電システムを搭載し、伝統と最先端の技術が調和した住まいになりました。
親類が集まる広間として使う1 階南側の和室2間は、建物の強度を高めるために一部の柱や壁を増設しているものの、親しみのある元の姿をできるだけ保持。既存の構造材は見えない部分に補強金具などを補いました。
広い土間を縮小して玄関ホールを拡張。
木造部分は活かして壁は漆喰で塗り直し、空間のアクセントとして正面に飾り台を設けました。
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和室に併設された広縁は内装を一新。
大きな開口部は冬の冷気の入口にもなるため、樹脂サッシとペアガラスを採用して高断熱仕様に。
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1階奥の和室2室は、ご両親が使いやすいように洋室へと変更。
北側で少し暗かったため、トップライトもあしらいました。
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既存トイレの横に新しく設けたトイレは、将来の母屋東側のリフォームに備えてのもの。
大・小便器と手洗いカウンターを設置。
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母屋東側の居間も、屋根の付け替えに伴ってトップライトを新設。
既存の梁は残しました。
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Before
2階には和室2室と納戸がありましたが、息子さん3人それぞれの個室を確保するために約6帖の洋室3室へとリニューアル。
コストを抑えるため、既存窓に内窓を加えることで開口部の断熱性を高めています。
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2階の廊下は落ち着いた色調のフローリングや白いクロスに張り替えて、明るくモダンな印象に。
奥まで貫いていた部分は西側の洋室と統合しました。
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古い日本家屋ならではの急勾配で危なかった階段は、少し奥へ位置をずらして折り返し、緩やかな勾配へと変更。
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Before
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壁の必要箇所には新たに筋かいを設置し、金具で補強しました。さらに耐震壁を要所に付け加えることで建物全体の耐震強度をアップ。
長く安心して暮らせるハードにしています。
傷んでいた軒下の木部もすべて張り替えて一新。
木が持つ温もりを引き継ぎながら、明るく現代的な雰囲気へと生まれ変わりました。
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リズミカルに並ぶ四角い飛び石をモルタルで埋め込んだアプローチ。
玄関内と同じ仕上げで、内外の連続性を持たせました。
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階段下の空間を利用した飾り台。
奥はトップライト(天窓)で自然光を呼び込みました。
玄関ホールが広く感じられ、モダンな空間を演出しています。
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ご家族が住みながらの工事のため、今回は母屋の2階建て部分を中心にリフォームを実施。
躯体の耐震補強を施すと同時に、ひと続きになった平屋部分も含めて軽量瓦に葺き替え、建物への負荷を軽減しています。
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「屋根を葺き替えるタイミングで導入したいと以前から考えていました」という太陽光発電システム。
南側の屋根に3.45kW分を搭載しました。
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